【四字熟語の処世術】竜頭蛇尾

 Date:2013年01月11日14時36分 
 Category:文学・語学 
 SubCategory:四字熟語の処世術 
 Area:指定なし 
 Writer:遠道重任
竜頭蛇尾(りゅうとうだび)
Going up like a rocket and coming down like a stick


今年の干支(えと)は癸巳(みずのとみ)歳。
干支の干(え)は10干(かん)のことで、甲(こう・きのえ)乙(おつ・きのと)丙(へい・ひのえ)丁(てい・ひのと)戊(ぼ・つちのえ)己(き・つちのと)庚(こう・かのえ)辛(しん・かのと)(じん・みずのえ)(き・みずのと)。
干支の支(と)は12支(し)のことで、こちらは誰もが知っている子(ね)丑(うし)寅(とら)卯(う)(たつ)(み)午(うま)未(ひつじ)申(さる)酉(とり)戌(いぬ)亥(い)。
この10ある「干」と12ある「支」の組み合わせが全部で60通りあり、一巡して同じ組み合わせになるのに60年かかることから60歳になれば還暦といってお祝いをしている。

因みに去年が壬辰(みずのえたつ)歳だったから、今年は癸巳(みずのとみ)歳ということになる。高校球児が目指す甲子園は、その完成が大正13年甲子(きのえね)の歳だったことから命名されたと聞く。

12支には現実の動物や架空の動物が割り当てられている。どのような意味があるのか、あるいは無いのか私にはわからないが、何事も先人の知恵が生み出したものでもあり、こじ付けでもなんでも、そこに自分なりの解釈をもちこんで、自分なりの処世とすることは可能だろう。
もとより、占いの原点である「易」は、実に自分自身の解釈をまって初めて意味をなすものであり、現代人のように他人に自分の未来を聞くに及んでは、易経の真意は隠れてしまって真実を告げることはあるまい。
今年の干支の巳年には蛇が割り当てられている。巳年の蛇をプラスのイメージで捉えるか、マイナスのイメージで捉えるか、アダムとイブに智慧を授けた賢いものと捉えるか、二人を唆した悪しきものと捉えるか、捉え方は自由である。

さて、「竜頭蛇尾」という四字熟語がある。「頭」つまり初めは「龍」のごとき勢いであるが、「尾」すなわち終りには「蛇」の尻尾のようにか細くなって勢いを失ってしまう様のことである。

自身に振り返ってみれば、こうした失態をいつも繰り返している気がする。三日坊主のエクセサイズや語学学習はいつも周りの失笑を買っている。家族に大言壮語し、退路を絶ってスタートダッシュするも、結果は毎回同じで、見事にやる気というエネルギーは放物線を描いて地に落ちることになる。
「継続は力なり」というが、実に的を射た表現である。戦うべき敵が己の内に潜むことを痛感する言葉でもある。

巳年の新春にあたり、皆様方の元旦立願の計が、決して竜頭蛇尾に終わらないことを祈っている。