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【街景寸考】コンビニ店のこと
Date:2020年02月12日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
今では多くの消費者にとってコンビニ店は、生活に不可欠な店舗になっている。中心市街地のビルの中にも、幹線道路沿いにも、地域の街中にも、郊外の農道沿いにもある。サービスも物品販売だけでなく、宅配の取次やチケットの発券等の代行や、ATМのサービスなども加わり、現在もなお消費者のための利便性を追求し続けているようだ。
初めてコンビニ店に行ったのは、昭和61年頃だったと思う。自宅近くにセブン・イレブンができたので、子どもたちを連れて行ったときだった。店内には限られたお菓子や食品、日用品、雑誌等が売られていたが、なぜその商品構成がコンビニエンス(便利)なのか理解できなかった。まだ近くに地元商店が何軒もあったからかもしれない。
コンビニ店が特に注目されてきたのは、大型スーパーや総合商業施設の進出により地元の商店が次々と廃業し、シャッター通りと呼ばれるようになってからだ。以降、大型店で買うまでもない商品は、近くのコンビニ店で間に合わせるという消費のかたちになった。このかたちになる背景には、車社会が大きな要因にあったのは言うまでもない。
昭和の頃からあった商店は、ほとんど朝10時頃から夜19時頃までの営業時間だったが、消費者はこれに合わせて暮らしていたので不便を感じることはなかった。ところが24時間営業をするコンビニ店の登場により、生活様式の多様化と相まって都市部を中心に需要を掘り起こし、名実ともにコンビニエンスとして利用されるようになった。
ところが最近、コンビニ店の一部から「深夜営業をやめたい」「正月元旦くらいは休ませてほしい」という要望がフランチャイズ本部に出されるようになってきた。こうした背景には、加盟店の人手不足や人件費の高騰、更には店主の長時間労働による健康問題などがあるようだ。加えて、コンビニ店が飽和状態になってきたことや、一部のスーパーなどでも24時間営業を行うようになったということも、無関係ではないようだ。
フランチャイズ契約の中で、加盟店側がこうした営業形態に合意していたとは言え、全国一律の契約であることに無理があるのは、素人のわたしでも理解できる。地域事情や個々の店舗事情に合わせて契約をするのが合理的であるに決まっている、本部の優越的地位を利用して契約が交わされているのだとすれば、改めるべきは当然のように思う。
24時間営業や年中無休の営業形態により生じる加盟店の悲鳴は、過剰な消費者サービスの綻びを予兆する現象のひとつに思えなくもない。宅配便の再配達にみるシステムの綻びも同様だが、こうした過剰サービスによる経済活動の綻びは、他の業種業態においても見受けられる。先では企業側にも消費者側にも社会的にも、大きなしっぺ返しをくらう気がしてならないのだが、わたしの思い過しなのだろうか。
過当なサービス競争は、そろそろ再考してよい時期にあるのではないか。