nasiweb
nasiwebとは
注目記事
新着記事
ライター登録申込
同カテゴリの他記事
【街景寸考】教育関係者が自覚すべきこと
2024年08月05日11時14分
【街景寸考】怒りのCМ退治
2024年07月08日11時43分
【街景寸考】「ミャクミャク」のこと
2024年06月03日12時59分
【街景寸考】「人生、まあまあでいい」
2024年05月07日14時52分
【街景寸考】81歳と77歳が再対決?
2024年03月05日13時40分
同ライターの他記事
【街景寸考】教育関係者が自覚すべきこと
2024年08月05日11時14分
【街景寸考】怒りのCМ退治
2024年07月08日11時43分
【街景寸考】「ミャクミャク」のこと
2024年06月03日12時59分
【街景寸考】「人生、まあまあでいい」
2024年05月07日14時52分
【街景寸考】81歳と77歳が再対決?
2024年03月05日13時40分
【街景寸考】人類が突きつけられた課題
Date:2020年04月08日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
もし人類が滅亡するとしたら、それは核戦争か巨大隕石が地球に衝突するかのどちらかだと想像していた。ところが新型コロナウィルスの報道を連日見ていたら、それまでの想像を変えざるを得なくなってきた。毒性や感染力の強いウィルスの感染爆発によって人類が滅亡してしまうことの方が、ずっと現実味を帯びている気がしてきたからだ。
振り返ると、これまでの人類の歴史は細菌やウィルスとの戦いの歴史でもあった。例えば、14世紀にヨーロッパを中心に猛威を振るったペスト菌は、約4千万もの人々を死に至らしめた。16世紀にスペイン軍に滅ぼされたというインカ帝国やアステカ帝国も、実はスペイン人が持ち込んだ感染症が大きな要因になっていたと言われている。更に、第一次世界大戦中に大流行したスペイン風邪では、死者数が1億人にも達したという説もある。
過去におけるウィルスの怖さは、もはや過去のものかと言えばそうではない。エボラ出血熱もHIV(エイズ)も過去の伝染病ではない。エボラは現在でも有効な治療法や予防法はなく、未だに危険なウィルスの一つとされている。エイズも治療薬はあるものの、ワクチンは未だ開発されていないのが現状だ。近年で言えば、ジカ熱の記憶も新しい。
遠い昔であれば、これら感染病は風土病として収まっていたのかもしれない。ところが科学技術の進歩により高速交通網や大量輸送機関が整備されてきたことで、皮肉にもウィルスが世界中を駆け回ることができるお膳立てをつくってきたようなものである。
人類は進歩してきたと言いながら、ウィルスによる感染死や社会の機能不全による経済死も含めて、想像を絶する数の人々が死に至るような地球にしてきたのかもしれない。
現在、政府、自治体はクラスター(小規模集団感染)やオーバーシュート(爆発的感染者急増)を防ぐため、密閉、密接、密集の重なり合う空間を避けるように連日呼びかけている。この呼びかけは、緊急事態宣言が発出された後でも自粛であり要請であり、強制ではない。
たとえ強制ではなくても、日頃から信頼のおける政治家がした宣言であれば、もっと効果は上がるはずである。そういう意味では、国家の緊急事態に際して多くの国民が政治家に全幅の信頼をおくことができない現実に、不安を覚えている。
感染症のリスク拡大は地球温暖化とも無縁ではない。シベリアの永久凍土が溶けて新種のウィルスが発生していることや、ジカ熱の原因となる蚊の棲息範囲が広がっているのは周知の事実である。更には、アフリカ等の未開発地域の開発や自然破壊により新しいウィルスが出現し、人間社会に牙を剥いているという事実もある。
今回の新型コロナにより、我々人類は真正面から課題を突きつけられた気がしている。それは、未知のウィルスが発症しても世界中に蔓延することのない経済の仕組みや科学技術のあり方、更には人間としての生き方について、根底から反省し模索していかなければならなくなったという課題である。