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【街景寸考】いじめ事件に思う
Date:2021年11月24日09時23分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
小欄で「いじめの問題」をテーマにするのは今回で3回目だ。いじめが原因で女子中学生が非業の死を遂げたという事件を報道で知り、腹に据えかねて書くことにした。
2年前の4月、中学校に入学して間もない女子生徒が、凄惨ないじめや集団による性的暴行等を受けてPTSDを発症し、今年2月にそれが原因となって氷点下17℃の夜に家を飛び出し、同3月23日に公園で凍死した状態で発見されたという事件だった。
ネット辞典・ウィキベディアによれば、そのいじめは遥かに度を超したものであり、執拗に被害女生徒を恐怖に陥れ、自尊心をズタズタに傷つけるという辛辣なものだった。なかでも脅迫して送らせたわいせつ画像をLINEで拡散したことや、公園のトイレで自慰行為を強いたことなどは、たとえ中学生でも酌量の余地は微塵もない犯罪行為である。
こうした悪行だけでなく、学校側の対応や発言に対しても腹に据えかねた。被害女生徒の母親から何回も相談を受けていたのに担任教師は応じようとせず、教頭(当時)もわいせつ画像が拡散されたことに悲観して被害女生徒が川に飛び込んだ時点でも、「校内での出来事ではないので責任は負えない」という民事で争っているような発言をしている。
更に、この教頭は被害女生徒の母親に対し、「10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来とどっちが大切ですか。1人のために10人の未来を潰していいんですか。どっちが将来の日本のためになりますか」と、とても教育者とは思えない言葉を吐いている。
当時の校長も同じだった。被害女生徒が凍死状態で発見されたときでさえ、「いじめの認識はされてなく、自慰行為の強要と被害女生徒の死亡に関係性はない」と、学校側には責任がないと言わんばかりの発言だった。このような校長や教頭の教育者としての自覚も責任感もまったく感じられない言葉の数々に、わたしはただ愕然としてしまった。
結局この事件は、文科省の指導により再調査等が行われ、2021年10月にようやく地元市議会で市長がいじめを認める答弁をしている。現在、わたしが最も重大な関心を抱いているのは、これらの校長や教頭のその後の処遇のことである。何も咎めがなかったとすれば、正義が踏みにじられた状態のままにあるということになる。
8年前、いじめの増加が続く中で「いじめ防止対策推進法」が制定されたが、2019年は全国で約61万件が報告され、現在も増加傾向にある。いじめによる自殺は年間300人超えが続き、重大事案も700件を超えている。
人間の集団があるところ、いじめはなくならないのだろう。詰まるところ最悪の事態を避けるためには、被害者側が強靭な心で自衛するしかない。そのためには、被害者側はいじめが発生したら直ぐにでも学校や教育委員会へ乗り込み、学校が頼りにはならないと判断したら加害者宅に直接乗り込むなり、警察沙汰にするなり、文科省に声を届けるなり、とにかく大きく騒ぎ立てることである。
これは我が子の人生を守り、命を救うための戦争だと思わなければならない。