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【街景寸考】子ども心
Date:2014年07月23日10時31分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
土曜日か日曜日になると、息子や娘たちの家族が孫たちを連れてときどき遊びに来る。二組、三組と家族が合流したときは賑やかさを増し、その勢いでカラオケを歌ったりすることもある。小さな孫たちはまだカラオケは歌えないが、次から次と歌う大人たちを見ながら、楽しそうにはしゃぎ回った。おしゃまになった4歳の孫は、誰かが歌い終わるたびに「次は誰かなぁ、次は誰かなぁ」と言って、楽しい時間がまだまだ続くようけしかけた。
孫たちがはしゃいでいる光景を見ていたら、「ちびまる子と友蔵」が頭に浮かんできた。この二人は孫娘と祖父という間柄だが、友だち同士の間柄でもある。まる子は、両親や姉さんに言えないことでも、友蔵には何の抵抗もなく相談し、打ち明けたりする。友蔵は、いつもまる子と共に泣き、はしゃぎ、感激し、まる子の目線で悩み、考え、喜ぶ祖父である。
友蔵には子ども心がある。だからこそ孫のまる子とでも友だち関係を可能にすることができる。カラオケではしゃいでいる孫たちも、無邪気に歌っている親たちに友蔵の場合と同じような共有できる何かを感じていたように思えた。
色々な祭りの中にも、子どもたちと気持ちを共有する光景が多々ある。大きな掛け声を掛ながら無心に神輿を担ぐ大人たちがそうだし、炎の回りで高揚しながら踊る大人たちもそうだ。泥でお互いの顔を塗り合う祭りや、ひょっとこお面を被って滑稽に踊る祭りでも、子どもみたいになっておどける大人たちを見ることができる。
祭りは五穀豊穣、無病息災を神仏に祈願するためのものだが、同時に大人たちが神仏の前で堂々と童心に返ることが許される行事でもある。子どもたちは、そうした大人たちと一緒になって祭りを楽しみ、共感を抱くことができる。子どもたちにとっての祭りへの関心は、この辺りにもあると言える。
昔、酒に酔ってアホ面を晒して帰宅したとき、子どもたちは普段とは違う父親を見て面白がった。更に、その父親が母親から「だらしがない」とか言われて叱られたりすると、歓声を上げて嬉しがった。この場合は、子どもたちからバカにされただけで、共感するようなところは特別ない。
今後の人生、孫たちとの関係では「友蔵」のような人物を目指したい。