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【街景寸考】地方議会は必要なのか
Date:2016年10月05日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
「議員になって地域の発展に少しでも役に立つことができたらと思い、市議会議員に立候補しました。ところが議員になってみると、志を共にする議員がいないことや、下品で卑劣な議員が多いということを知り、驚き、失望しました」「議員時代には、見たくなかったことも随分見せられてきました」
苦笑いをしながらこう語っていたのは、某市議会議員をしたことがあるS氏である。
S氏とは還暦野球の試合で、ときどき顔を合せることがあった。選手として出場していることもあったが、どちらかというと審判員の恰好をしていることが多かった。物言いが端的であり、論理的だったので印象に残る存在だった。そのS氏が3期目の改選時に立候補を断念したという。同僚議員や議会に失望したことが主な理由のようだった。
最近、政務活動費の不正請求問題で富山市議会議員が相次いで辞任するというニュースが連日報じられている。不正に得たお金を何に使ったのかという記者の質問に対して「酒が好きなもんで、誘われると断れなかった」などと、悪びれもせず答えていた議員には正直驚かされた。もちろん、こうした不祥事は今に始まったことではないが。
地方議員には、一般人にはない待遇が与えられている。そうした待遇は、身を削りながら地域の発展に寄与してくれる立場にあるからだ。ところが現実はどうだ。ほとんどの議員が「議員ごっこ」をしているだけではないのか。役所の職員から「先生、先生」と呼ばれてふんぞり返り、選挙民の前では柔和な笑みを浮かべた仮面を被り、「そうですか、そうですね」と言っているだけのことでしかない。
そんな議員が、給与とは別に政務活動費をまるで報酬のごとくに使いまくっている。まず襟を正さなくてはならない立場の人間が、である。なんたる下衆の極みであり、下卑た人間たちであることか。彼らにどれだけ無駄な税金が使われていることか。
富山市議や「号泣議員」で有名になった兵庫県議会議員の野々村氏だけではない。阪南市議をはじめ、愛知県議、岐阜市議等々、最近においても枚挙にいとまがない。こうした状況を推察するに、全国どこの地方議員も似たり寄ったりの類ではないかと考えてしまう。
この際、メディアでも市民オンブズマンでもよいから、全国一斉に調べてみたらいい。地方議会そのものの見直し論から果ては不要論までが、大きな声となって全国を席巻するはずである。このことは、願望でもある。