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【街景寸考】災害ボランティアのこと
Date:2018年07月18日08時01分
Category:
エッセイ
SubCategory:
街景寸考
Area:
指定なし
Writer:
大昭寺いさじ
今回の西日本豪雨災害のような、広範囲にわたる同時多発的な大災害は、わたしの知る限り過去に例がない。近年続く異常気象のことを思えば、今後もこうした異常な雨の降り方は珍しくなくなるのではないかと推測する。従って、今後は特に山間部や崖のそば、川のそばに家を建てるのは避けたほうがよいのではと考えてしまう。
被災地での復旧の道のりはまだまだ困難を極めており、粗大ゴミと化した家財道具を廃棄するのが精いっぱいのようだ。心身ともに被災者が疲弊した状況下において、元気を注入してくれるのがボランティアの存在だ。大災害が起きるたびに、災害現場に駆けつけ、奉仕活動をするボランティアの存在ほど、被災者にとってありがたいものはなかろう。
わたしはと言えば、その活動をいつもテレビで眺めているだけである。ボランティアをするには、自分の生活や時間を犠牲にしなければならないので、簡単には踏み切ることはできない。しかも今回は猛暑の中での作業となるため、冷えた飲み物が相当必要になる。近くに自動販売機があればよいが、そうでない場合はどうしているのかと心配になる。
ボランティアをしたことがなく、しようとさえも思ったことのないわたしには、矢も楯もたまらず災害現場に駆けつけようとする人々が、何か特別の存在のように思える。その気持ちと行動力につくづく感心しながら、感心するだけの自分のことを思うと、何か悪いことをしているような後ろめたい気分にいつもなる。
災害現場をテレビで見ながら、「かわいそうに」「大変なことになった」と心から同情はするものの、現地まで駆けつけて何かの役に立ちたいという気持ちまで湧くことはない。「自分一人くらい行っても、状況が大きく好転するわけじゃない」などと、身勝手なずるい言い訳をする自分がいる。
災害ボランティアの方々は若年層が目立つが、中高年者も少なくない。参加理由も「被災者を支援したい」「以前、ボランティアに助けられたことへの恩返し」「ボランティアをして少しでも社会貢献したい」「自分を変えるきっかけにしたい」等、色々だ。「宗教上の理由から」「大学で単位がもらえるから」というのもある。
動機が何であっても、被災者が心から感謝する気持ちに変わりはない。こうしたボランティアの方々の支援活動によって、諦めていた生活再建への気力を取り戻した被災者は数知れないだろう。自殺を思いとどまったという被災者の話も幾つか聞いたことがある。
最後に、この災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたい。また懸命に復旧に携わる方々には、熱中症などの二次災害にくれぐれも留意されることを切に願う。