あれこれオーストラリア探訪 「驚きのプロパティマネジメント」

 Date:2015年02月24日09時19分 
 Category:地域(海外) 
 SubCategory:あれこれオーストラリア探訪 
 Area:指定なし 
 Writer:三陽生人


 シドニーに住んで2年が過ぎようとしている。相変わらずの英語力が毎日の生活に緊張感を与えている。昨年暮れにはアパートの管理業者との間でちょっとしたバトルが発生。何とも恐るべき管理業者の実態が明らかとなった。

 事の始まりは私がシドニーを留守にしブリスベンに行っていた12月14日に起こった。フラットメイト(同居人)から電話で共用の洗濯機が壊れたとの知らせだった。1階の住人3世帯が共同で使用している洗濯機が壊れたというのだ。当然、英語にも堪能は他の2世帯の住人が管理業者に連絡するだろうと思っていたらしいが、数日経っても誰も連絡を取った様子がないという事だった。

 仕方なく私が管理業者のR不動産に修理を早急にやって欲しい旨のメールを送ると、支店長らしき女性から次のようなメールが届いた。

「そのマシーンは共用?1台しかないの?」

 自分の管理物件のことも分からないのかと、とんちんかんな質問に唖然としたが、丁寧に
「共用の洗濯機です。2台あるけど、1台は最初から壊れています」と返事した。しばらくすると更に

「修理会社に連絡するけど、状況を私たちにも伝えてね。」

 その後、彼女からは何の連絡もなく、もちろん、修理業者がやってくる気配すらなかった。3日後の17日、再度彼女にまだ洗濯機は動いてないこと、急ぎ修理をして欲しい旨を伝えた。
彼女からすぐに返事は来たが、答えは

「もう一度修理業者に連絡する」

というものだった。
しかし、やはり修理業者からは何の連絡もなかった。
20日、再度「あなた方の対応が理解できない。我々は困っているんだ」と連絡を入れたが、彼女の返事は

「もう一度修理業者に連絡を入れる。私もなんで修理業者が何もしないのかわからない」

との、まるで人ごとのような返事だった。

 22日、珍しく彼女の方から

「洗濯機は今日なおった?修理業者から担当に修理依頼をした旨の連絡が届いたけど…」

 しかし、それでも修理業者がくる事も、連絡が入る事もなかった。そうこうする内に、彼らは一年で最大ともいえるイベント、真夏のクリスマス休暇に入ってしまい、以後連絡も途絶えてしまった。

 27日、クリスマス休暇も終わっただろうと「いつまで待たせるのか。大変に大きな問題だという事を理解してくれ」と伝えたところ、彼女からは

「クリスマス休暇前に再度連絡は取ったんだけど…洗濯機についている電話番号を教えてくれない?」

と、何とも暢気な返事に呆れてしまったが、「自身の目で確認してくれ。我々は長い間洗濯物を手荒いしていることをわかってくれ」と返事した。

 しかし、彼女からの返事は

「2階の人の洗濯機は使えないの?洗濯機のブランド名を教えて」

 共用の洗濯機はコンセントに鍵がついていて、使用電力が各世帯に請求される事になっている。だから、他の階の洗濯機など使えるはずもないのは、管理業者であれば百も承知のはずなのに、何とも懲りない管理業者の対応に、あきらめ気分の方が強くなって行くのを感じた。

 彼女はさらに

「エントランスの掲示板に状況を書いて、誰か洗濯機を使わせてくれないか、呼びかけてみてくれ」
と、ほとんど信じられないアドバイスをして来た。余りの返事に返す言葉を失いかけたが、「他の人に迷惑はかけたくないし、電気料はそれぞれに請求されるから、それは難しい」とだけ伝えた。

 年末年始の休暇も連絡は取れない有様で、3日、未だに直らない洗濯機を見て、修理会社を変えてくれと連絡すると、

「明日、担当者を派遣すると修理会社が言って来た」

と返事があった。しかし、翌日、彼らが来る事はなかった。「これ以上、その会社に期待は出来ないからすぐに修理会社を変えて対応してくれ。自分の事と思って真剣に考えてくれ」と連絡したが、

「私もがっかりだわ。緊急のメッセージを残しておいたから、明日もう一度連絡してみる。」

 少しは、本気モードの対応になって来たようにも見えたが、毎度一日越しの対応に慣れ始めている自分が怖くもなった。

 6日、彼女から連絡が来た。

「修理会社のマネージャーが言うには、クリスマス前に修理済みになってると。しかし、実際に直ってないと伝えた。申し訳ないけど、明日、もう一度連絡する。」

 そして8日、彼女からの連絡は

「修理会社は昨日修理して、あなたの部屋のドアベルを鳴らしたと言ってる」

 どこまでが本当なのか全くわからない状況に、「あなた自身で確認すべきじゃないのか。まだ直ってないことは見れば分かる。洗濯機には臭いにおいの水が入ったままだし、修理されても使う気になれない。新品に交換してくれ。彼らは信じられない。」と言ってやった。
彼女は

「同感だといいながらも、彼らから連絡はあったか」

と再度尋ねて来た。

 9日、何も変わらない状況に、「あなたは自分でチェックしたのか。私に何をしろと言うのか。わけが分からない。誰を頼ったらいいのか?誰がこの問題を解決してくれるのか?何にも難しい事じゃないと思うんだが…。この問題を解決できない人なんていない。この1ヶ月、ストレスがたまってしょうがない。あなたたちの会社は理解できない。」と彼女を問いつめた。
すると彼女からの答えは信じられないものだった。

「今日も2回、修理会社に電話したが、返事がない。残念だけど、私たちにはこれ以上何もできない。私も彼らがあなたに連絡しないのが信じられない。」

 管理業者に手の打ちようがないと言われたテナントは、どうしろというのだろうか。こんな対応の管理業者が日本にいたらどうだろう。当然、家主が矢面に立つ羽目になるのだろうが、オーストラリアでは家主の名前や連絡先は一切分からない。

 結局、10日に修理会社の担当がやって来て、修理はいとも簡単に終わったようだった。ちなみに今回、洗濯機が動かなかった原因は電気のコードが切れていただけの事だったのだ…。日本ならその日のうちに直るような事が、ここでは1ヶ月もかかってしまう。
そういえば、前年のクリスマス前に壊れた電気コンロの修理には3ヶ月もかかったっけ…
とりあえず、直った事を報告した際の彼女の返事、それはオーストラリアのレイジー管理業者を象徴するものだった。

「それはとってもグッドなニュース。週末はゆっくり休んで楽しんでね。」