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あれこれオーストラリア探訪 「愛の南京錠」
Date:2015年04月24日09時31分
Category:
地域(海外)
SubCategory:
あれこれオーストラリア探訪
Area:
指定なし
Writer:
三陽生人
友人に会うために久しぶりにメルボルンを訪ねた。メルボルンは位置的にオーストラリアでも相当南に位置するため、シドニーよりは寒いと覚悟して行ったが、出迎えた友人から「ちゃんと防寒してくるように言ったじゃないか…」と叱られてしまった。まさかシドニーとの温度差が10度もあろうとは…。
その友人宅はメルボルンの中心地から南へ電車で一時間ほど行った終点のフランクストンという駅から、さらに車で40分ほど南に下ったところにあった。地図で見ると、そのすぐ南に浮かぶタスマニアに手が届きそうなところだった。
オージーしか住んでいないような、本当に田舎の街だけに、時間ものんびりしたもので、大自然と調和した雰囲気を味わえる素敵なところだった。
友人の話では、ここには日頃見る事の出来ないような動物が野生で生息しているという。ならばと思い、冗談で「コアラはいないでしょう?」と尋ねてみると、なんと「いる」という返事。何でも前の住居の庭には時々やって来ていたといい、イメージとは違って大音響で叫ぶらしく、友人がそれをまねしてくれるのを見て、これは本当だと妙に納得してしまった。他にもカンガルーやウォンバットなどもいるという。これまでにオーストラリアで出会った人は皆、野生のコアラはいないんじゃないと聞かされていただけに、友人の衝撃の告白にはただただ驚いた。
久しぶりのメルボルンでもあり、帰りの一日、飛行機の時間までをゆっくりと一人で過ごす事とした。
スワンストンストリートのパフォーマーの方々の技量の高さには毎度驚かされるが、この日も一人の若者が奏でる生ギターとハーモニカ、そして歌、さらに足で刻むリズムの音に聞き入ってしまった。
今回のメルボルンでは新たな発見が二つ。一つは、シティをくまなく走り回っているトラムが何と全線無料となっていたこと。シティの中だけとはいえ、太っ腹なメルボルン市である。そしてもう一つが「愛の南京錠」(Love padlocks)だ。
街の中心フリンダース駅の裏を流れるヤラ川のほとりは、レストランやバーなどのこじゃれたお店が並び、なかなかの雰囲気を醸し出している。川のほとりを散歩する人も多いが、このヤラ川にかかるおしゃれな歩道橋に沢山の南京錠がぶら下がっていたのだ。
何も知らない私には、それがまるで絵馬のように見えて、洋風絵馬かと思い写真を撮って帰って来たが、調べてみると、世界中のあちらこちらに存在するものらしく、恋人たちの永遠の愛の象徴なのだそうだ。
しかし、残念な事に景観が損なわれるとか安全性に問題があるという理由で撤去されるケースが増えているというから、永遠の愛などないという事なのか。
愛は形がないからこそ永遠を誓えるもの。形にしなければ不安となるような愛では、永遠という言葉を冠するにはほど遠いという事か。
各国行政の粋(?)な計らいが、恋人たちに真実の愛について教えてくれているのかもしれない。