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あれこれオーストラリア探訪「夢の国、日本」
Date:2014年08月07日10時20分
Category:
地域(海外)
SubCategory:
あれこれオーストラリア探訪
Area:
指定なし
Writer:
三陽生人
一年ぶりの日本だった。ケアンズから成田経由で福岡に戻った。日本を訪れたことのあるオーストラリア在住の外国人がよく口にするのが「日本は夢のような国」という言葉だ。聞けば日本人の私は嬉しくなるのだが、成田に到着し乗り換え便のために暫し成田空港で過ごした数時間で、私自身が確かに日本は夢のような国だと感じていた。
先ずは飲料水を買いにコンビニに入ったのだが、スタッフの接客に「あ〜これぞ日本」と感嘆符を打ちたくなる感じを覚えた。日本にいる時であれば、何一つ感じることの出来なかった当たり前の情景なのだが、たった1年とはいえオーストラリアで生活したことで、日本人の心配りの細やかさに感動していた。
きっと誰もが感じることだと思うが、日本のトイレの綺麗さは群を抜いている。おまけに温水洗浄便座はオージーにとって想像を超えた産物の様だ。自動で開閉する便座のカバーに至っては、どこまで人をルーズにするのかと私でさえ心配したくなるサービスだ。
福岡までの飛行機はオーストラリアから乗ってきた同じ航空会社のものだったが、改めて行う搭乗手続きの際のグランドサービスの接客の違いに、思わず「さすが日本」と叫びたくなる気分だった。
福岡で感じたのは安全第一を考えるバス運転手の心配りだ。運転技術もだが、乗客が座るまで発車させない、あるいはバス停では車が止まってから席を立たせ降車させることなどは、オーストラリアでは考えられない。車内アナウンスのきめ細かさ、バス停に設置された電子掲示板の見やすさもしかりだ。オーストラリアではバス停を探すのも一苦労なら、アナウンスなしの車内では降りる場所がどこか分からず、不安が先立ってバスに乗るのを敬遠してしまう有様だ。バスのような公共交通機関でさえ、こうしたてんこ盛りのサービスが自分には夢のように感じてしまう。
街中のお店に目を向けても同じだ。オーストラリアでは昼食時ともなれば店員が食事をしながら接客している光景をよく目にする。これに慣らされているオージーにとっては日本でのショッピングは商品ディスプレイのセンスの良さもさることながら、顧客目線に立った顧客第一主義の接客術は、夢の国に迷い込んだような錯覚を覚えるのも無理なかろう。
2020年の東京オリンピックに向けて「おもてなし」の日本文化を発信するのだと聞くが、実にこの「おもてなしの心」こそが日本を、そして日本人を世界に伝える何よりのキーワードになると信じている。
とは言え、夢からいつかは覚めなければならないのが人である。私の夢も3週間で終わりを告げ、今また現実の世界に戻った。そして、私が見る夢の実現はまだ遠い。それは泡沫の夢から人が目覚めることの難しさと比例している。